2019年09月11日

伝記の魔力

『作者のひみつ(仮)』では、作者の伝記・評伝に対して、作者の生涯の出来事と作品を時に強引に結びつけてしまうものとして、そして作者と作品の関係を自明化するものとして批判的にとらえるのだが、しかし一方で伝記・評伝を面白く読むこともあるので、そのへんの態度の区別が必要になってくる。

いわゆる作品の作者ではなくても、人は生きてなんらかのしごとをするので、そのしごとの背景に生涯に体験したできごとがあるととらえるのはわかりやすく、納得しやすい。
坪内逍遥が「小説神髄」で「人情」に次ぐ「小説の主脳」としていた「世態風俗」というのもそういう、生活を描くことで生まれるリアリティを指していたように思われる。
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今で言うと、マンガやアニメやライトノベルでキャラクタの過去話を入れることにも繋がっている、しごとの背景を描く・読むことには強い魅力・魔力があるのである。

さて、明日から後記の講義が始まるので、書きこむペースは3月までと同じ感じになる予定。
posted by kuwabara at 23:26| 大阪 ☔| Comment(0) | 作者のひみつ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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