2019年09月05日

小説と現実の時間

書店に行ったらNHKテキストのコーナーにあって、驚いた。
大江健三郎 『燃えあがる緑の木』 2019年9月 (100分 de 名著) [ 小野 正嗣 ] - 楽天ブックス
大江健三郎 『燃えあがる緑の木』 2019年9月 (100分 de 名著) [ 小野 正嗣 ]

今このタイミングで「燃えあがる緑の木」とは!
読んでみたが、あのめんどくさい小説をよくこんなに整理したものだ、と感心した。この講座で関心を持って読み始めた読者は、あまりの読みづらさに戦くのではなかろうか。

ひとまず今書いている論文とかぶってなくてよかった。

さて、以前作中の〈ギー兄さん〉と〈総領事〉のヨーロッパ旅行の時期について、旅行の記録の日付・曜日から1992年だと推測したが、このテキストでは大江光のCDの発売年に基づいて1994年だと推測している。それを根拠にするのは、小説と現実を混同した見方だと考えて採用しなかったのだが、カレンダーを根拠にするのも実は同じなのだ。
小説の世界とわれわれが生きている世界が同じ暦を採用しているかはわからないわけだから。何気なく読んでいる小説が、実は八曜制(たとえば金曜日の次に海曜日がある)の世界を舞台にしているのに、たまたまわれわれの世界と同じ名称の曜日しか出てこないので気づかない、ということもあり得るわけだ。

いろいろな可能性を考えた方がおもしろいのである。
posted by kuwabara at 22:30| 大阪 ☁| Comment(0) | 戦後文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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